思いのほか前回書いた記事が好評だったので調子に乗ってこんな記事も書いてみることにしました。
正直数年前に自分がクラブでVJしたとき、聞いたこと無いワードばっかだったのでこれから始める人の助けになれば。
実際に現場での1日の動きを記載した記事を書きました。よろしければどうぞ! |
役職や立場に関する用語
VJ
VideoJockeyの略称。
時代とともに変化し、現在ではVisualJockeyと呼ばれる場合もある。
立場やイベントによって手法や目的が異なり、大分すると「クラブVJ」「ライブVJ」「アニクラVJ」に分けられる。
詳しくはこちら
DJ
DiscJockeyの略称。クラブで音楽を流すプレイヤーのことを指す。
オーガナイザー
イベント主催者の略。DJやVJが兼任していることも多い。
イベントの規模にもよるがプロデューサー(資金面のオーナー)であることも多い。
彼らが目指すパーティを実現することもVJの目標の一つである。
MC(えむしー)
master of ceremonies(マスターオブセレモニー)の略。
その名の通りセレモニーの支配者。かっこいい。
クラブにおいてはマイクパフォーマンスをする人の意味でDJの流す曲に合わせてフロアを盛り上げたり司会も行う。
PA(ピーエー)
PA:Public Addressエンジニアの略称。
Public Addressとは大衆演説のこと、イベントの大衆に対して最も良い音を発信するための技術を持っている人という意味で使われる。
箱(下に記載)のオーナーがPAをやったり、箱のスタッフや雇われのPAさんもいてその立場は様々。
腕利きのPAさんの仕事は本当に感動するぞ
照明・レーザー
照明やレーザーを駆使して空間演出を行うスタッフのこと。
現場では「照明さん」「レーザーさん」と呼ばれる。
VJが兼任している場合もある。
ライブでは基本的に証明やレーザーの色味が優先なので、それに合わせてVJが素材を切り替える技術が必要。
映像
ライブにおけるVJの呼び方。場所による。
大型のコンサートやライブでは「映像を作る人」のことだったり「LEDセッティングする人」だったりする。
「映像さんー」と呼ばれたらVJのことかもしれないしそうじゃないかもしれない。
察しながら気を付けよう。
送出
大型ライブやコンサートではこちらをVJの意味で指すことが多い。
映像送出担当の意味。
現場で自分が「送出さんー」と呼ばれたらその現場における「映像さん」は別の人だ。
舞監(ぶかん)
舞台監督の略称。小さなイベントではめったにいないが商業イベントでは間違いなくいるポジション。
リハーサルの進行や本番の進行の流れを監督する人。
VJなら関わり合いが多いので現場に入ったら誰が舞監なのか確認しよう。
基本用語
箱(はこ)
クラブハウス、ライブハウスのこと。
いわばイベント会場の意味。
小箱(こばこ)
集客~50人程度の小さい比較的小さい箱のこと。
厳密に決まっているわけではないが、渋谷のNagomixやdimension、川崎の月あかり夢テラスなどのクラスがこれに当たる。
小さくても何かに特化し、特徴が強い箱が多くイベントも特徴的なものが多い印象。
大箱(おおばこ)
集客200人以上の会場のこと。
渋谷のasiaやWOMB、新木場のagehaなどはこれ。
VJやDJにとってはここでの出演はひとつのステータスにもなりうるだろう。
上記以上になると野外を除けば、BLAZEや川崎チッタさらに上には幕張メッセやさいたまスーパーアリーナ等の規模になってくる。
箱付き
箱に雇われているVJや照明、PAのこと。
箱の社員として働いている場合とアルバイト的に契約している場合がある。
契約形態によって彼らの出来ることも異なるので何かお願いするときは気を付けること。
フロア
イベント会場の客席スペースのこと。
フロアが盛り上がっている状況を「フロアがあったまってる」と言うのもこれ
イベント/パーティ
そのままの意味。一つのイベントはオーガナイザーを中心に数人のDJとVJ、スタッフによって執り行われる。
告知
イベントの告知、難しい話だけど「〇人呼べる」というのはDJ、VJともにステータスだと思います。
折角自分が出るイベント、多くの人に知ってもらおう。
現場でよくつかわれる言葉
演者(えんじゃ)
DJやVJやアーティスト等の「ステージに立つ」人のこと。
小さい箱ではVJは演者だが、大きいイベントや会場ではスタッフ扱いの場合も多い。
うまく切り替えて立ち回ろう。
入り時間
スタッフがイベントの開催場所に到着する目標時間。
巷のイベントなら、オープンの1時間前のことが多い。
ライブVJの場合はリハーサルを行う場合があるのでその場合はさらに早くなる。
設営・設営時間
入りからOPENまでの時間のこと。
この時間の間にVJは機材の展開から画の送出まで完了しなければならない。
正直VJはこの瞬間が一番大切だと思う。
前入り
設営などで前日から会場入りすること。
野外イベントに多い
オープン
イベント開催時間のこと
クローズ
イベント閉演時間のこと
オンタイム
「予定通り」の意味。
イベント開始時にオーガナイザーが「オンタイムでオープンします」といったらこれ。
TT(ティーティー)
タイムテーブルの略称。
イベントのDJの出演順を意味する。
ゲストタイム
ゲストDJの登壇時間。
イベントとして最も盛り上げたい時間帯。
VJとしてもこのタイミングは盛り上げられるように演出していこう。
巻き
タイムテーブルよりも早く進行していること
上手(かみて)・下手(しもて)
ステージを客席から見たときの右方向が「上手」。
ステージを客席から見たときの左方向が「下手」。
スタッフの中でも演者とそうでない人で方向が違うためにこの表現を用いる。
養生(ようじょう)
ケーブルを客に踏まれたり、自分で引っ掛けたりしないように守ること。
養生テープの養生はこれ。
テープを使って床や壁に張ってケーブルを動かなくするのが基本。
また、これとは別に立ち入り禁止エリアを設けたりするパターンもあり、それは「峻別」と呼ぶ。
養生テープの輪っかはドリンクホルダーとしても機能するので常に持っておこう。
VJに関する用語
現場で出てくるVJに関する用語。
〇〇お願いしますーと言われたときに戸惑わないようにしよう。
ポン出し
決められたタイミングで決められたとおりに映像を出すこと。
ライブやイベントで多いが、クラブでもカウントダウンや誕生日イベントの時などにやったりする。
原曲アニクラVJは基本的にポン出しの連続技と言える。
キュー出し
Que出し。「3、2、1、はいキュー!」とTVで見るアレのこと。
ライブや大型イベントでは司会の人がキューを出してくれる場合がある。
また、逆に「話し終わったら映像お願いします」という「キュー無し」もある。
リハーサルで事前に確認しておこう。
リップシンク
アニクラで主に出てくるワード。OP(やPV)映像と音をぴったり合わせて送出する技。
なぜか「VJならみんなできる」と思われている節があるが、僕はこれ相当高度な技だと思います。
「この映像リップシンクできますか?」と聞かれる場合があるがszkには無理です。助けてください。
方法としては、事前にQueを打っておいて流す方法や速度を微調整して徐々に合わせる技がある。
DJがBPM変えてたりするとさらに難しくなる。
ジェネ系
映像ファイルではなく一種のプログラミング的な要素を用いてVJを行う技法。
自動的に生成される映像のため音とのシンクロをベースとした空間演出がしやすい。
各ソフトウェアのジェネレート機能のほか、touchDesignerやUnityなどを使って行う場合もある。
エフェクト系
アニクラにおいて「アニメ映像を出さないVJ=クラブVJ」を指すワード。
最近はアニクラ系のVJの方が兼任しているので言わなくなったかも?
機材
VJは機材で殴れば勝てる(場合もある)
多くのVJさんは機材が大好きなので、これを話のタネに仲良くなろう。
持ち込み
機材を持ち込むこと。都内の多くの箱にプロジェクターは設置してあるが、さらに画面を増やすときなどに「持ち込み」が行われる。
「この機材って誰の持ち込み?」
V4(ブイフォー)
ROLANDのミキサー「V4」のこと。あるいは「V4EX」のこと。
V1(ぶいわん)
ROLANDのミキサー「V-1HD」のこと。
V2(ぶいつー)
ROLANDのミキサー「V-02HD」のこと
レゾ
VJソフトウェア「Resolume」のこと。
グランド
VJソフトウェア「Grand VJ」のこと。
VDMX
VJソフトウェア「VDMX」のこと。
virtual(バーチャル)
DJソフトウェア「VisualDJ」のこと。
アレ(ほら、あれだよあのVJソフト)
大体Module8かKogeのことを指す。
ちなみにModule8は古くからある堅いVJソフト
KogeはUIがおしゃれで価格帯も安価で軽いVJソフトです。
ナノコン
KORGのMIDIコントローラー「NANO KONTROL2」のこと。
LED
多くの箱はプロジェクターによる画面投影がメジャーだが、近年ではLEDパネルや液晶モニターを採用している箱もある。
LEDと液晶パネルはプロジェクターに比べると自らが発光するためコントラストや解像度が出やすいことを意識しよう。
黒落とし
画面を真っ黒にすること。
パーティが終わったら黒に落としておこう。
白落とし/白上げ
画面を真っ白にすること。
VJプレイの他にもMC時や写真撮影の照明として使える場合も。
ストロボ
画面を点滅させるエフェクトや行為、演出のこと。
本来は照明やカメラ用語。
クラブ楽曲に関わる用語
DJ的ですが、知っておくとVJするときに助かるかも。ちなみにガバ知識なので間違ってたらご指摘ください。
BPM
Beat per Minutesのこと。「1分間に何泊あるか」の意味。
数値が高いほどテンポが高く、低いほど遅くなる。
ジャンル
イベントにおける楽曲のジャンルのこと。
「アニメソング」は厳密には音楽ジャンルではないけどこれに含まれることが多い。
4つ打ち
クラブミュージック全般を指す。
アニクラの場合では「原曲」に対する言葉としてリミックスのことを4つ打ちと言ったりする。
ちなみにクラブミュージックは基本的に4拍子であるためこう呼ばれる。
クラブミュージック(ダンスミュージック)
クラブで流れる4拍子の「踊れる」音楽のこと
アンセム
直訳では「聖歌」。すなわち特定のジャンルやムーブメントにおけるみんなが知ってる代表曲の意味。
皆が知っている=盛り上がるので転じて「やたら盛り上がる曲」を指す人もいる。
また、「アンセムおじさん」はこれらアンセムと呼ばれる楽曲を集中的に流すDJのことを指す。
サビ
楽曲のフレーズの1節。楽曲の中で最も盛り上がるフレーズのこと。
VJとしても盛り上げたいところだが、ステージとフロアの温度感に差が出やすいフレーズでもある。
フロアの雰囲気を良く観察しよう。
ビルドアップ
楽曲のフレーズの1節。クラブミュージックにおいて最も盛り上がるフレーズであるサビの前に入るフレーズ。
タン タン タン タン タ タ タ タ タ タ タ タ タタタタタタタタタタ!!! (3・2・1・GO!)
みたいなフレーズがこれ。
VJの腕の見せ所なのでしっかり決めていきたいところ。
ビルドアップの後にビルドアップがあったり素直にサビに入らない曲は「VJ殺し」と呼ばれる。
ゆるさないぞ
ブレイク
楽曲のフレーズの1節。サビの後に入るゆったりとした静かなフレーズのこと。
VJ的にはここをばっちり決めれるかどうかでフロアの雰囲気も変わってくる。
エモい
「エモーショナル」の略語で近年では若年層にクラブ以外でも良く使われ、意味としては感傷的とか感動的とか「心が現れる何とも言えない気持ち」を言語化したもの。
起源には諸説あるがハードコアパンク系の音楽界隈から1990~2000年代に発生した言語という説が有力とされる。
チルアウト
古くは「比較的陽気かつスローテンポの音楽」を指すが、クラブで早いBPM帯で火照った体を休める楽曲として多く採用されパーティの終わりにチルアウトフィニッシュすることが流行ったことから「パーティの終わりにテンポを下げる行為」としても認知されている言葉。
後者の場合は「陽気な雰囲気」である必要はあまりなく、単純に「いい雰囲気の(相対的に)スローテンポミュージック」がパーティの終盤にかかれば「チルアウト」と呼ばれる。
世代やジャンルの出身によって言葉の意味が異なるワードの一つ。
ハンズアップ
「手を挙げろ」の意味。DJやMCがフロアの客を煽るときに使ったり、客が盛り上がると勝手に手を挙げたりする。
ハンズアップしている=フロアが盛り上がってるという意思表示でとらえて良いだろう。
元はヒップホップの文化にある「put your hands up」のハズ…
余談だが、日本のヒップホップでは上記の英語を「プチョヘンザ」と呼ぶ。
ハンドクラップ/クラップ
MCが「ヘイクラップ!」とフロアの客を煽ったりするときに使う。
またはハンドクラップの入ったビルドアップで察しの良いお客さんなら勝手にハンドクラップしてくれることもある。
VJ的にも一緒にハンドクラップしたいところだが、大体ビルドアップタイミングは画面の切り替えに忙しいので精々片手でハンズアップするのが精いっぱいだったりする。
クラップする気はあるんです!許してください!
DJ横でVJするときはフロアをDJと一緒に煽れると図として綺麗だぞ。
余談だが、yunomi先生の「インドア系ならトラックメイカー」の歌詞にある「クラッピョヘンザ」は↑のプチョヘンザとクラップを一緒に言ったもの。
つまり「両手を挙げて手を叩け」という意味。
お酒に関する用語
クラブではお酒が出ることが多い。
未成年のVJはもちろん飲めないが知っておくと危険を回避できたり、将来の楽しみにできるかもしれない。
テキーラ
竜舌蘭(サボテン)を原料としたお酒。
風味がすっきりとし度数高め、冷やして飲むとアルコールを感じないことからクラブにおける高アルコールの酒類として古くから好まれる。
(同じ度数帯のウィスキーや焼酎は香りが強いためショットに向いていない)
ちなみに罰ゲーム的に使われるがおいしいテキーラは本当においしいので嫌いにならないであげてください。
イェーガ
イェーガマイスターが正式名称。
ドイツ発祥の薬養酒。
材料は50以上の薬草とフルーツで、香り高く甘く風味が強い。
しかり独特の香りは鼻によく抜け、ショットが苦しくないためテキーラの代わりに好まれるお酒No2。
こいつも普通に飲むと普通に美味しい。
シャンパン(orスパークリングワイン)
シャンパンはシャンパーニ地方で作られるスパークリングワインのこと。
多くはスパークリングワインをわかりやすいからシャンパンと呼んでいる。
単位がボトル売りのため、値段が高くパーティが盛り上がったタイミングでお客さんが入れてくれると盛り上がりポイントになる。
VJ的にはコイツが飛んできたタイミングで何か映像を出したかったりもするが空気感は大切。
ちなみにイェーガやビールとの飲み合わせがあまりよくなく度数が低い癖に「とどめ」になったりする。気を付けよう。
クライナー
正式名称は「クライナーファイグリング」。新勢力の小瓶入りの酒。
様々なフレーバーが売られている。
小瓶入りでまさしく「パーティ用」に作られた酒と言っても過言ではない。
ただし酒種はリキュールで度数も低め。テキーラが飲めない人でも飲みやすいお酒と言える。
単価は高め。
ビール
とりあえず1杯目はこれ、と居酒屋ノリで飲むと↑の酒らと飲み合わせが悪くて後悔するぞ!
大体ハイネケンやコロナ、プレモル系列が多いがサッポロ繋いでるクラブあったら教えてください。大好きなので。
ハイボール
蒸留酒のウィスキーをベースにソーダで割ったカクテル。
度数少な目でテキーラやクライナーとの飲み合わせも悪くなく、糖が入ってないのでこぼしたときダメージも少ない優等生。
なんとなく盛り上がりそう(酒が出そう)な雰囲気のパーティでお酒入れたいときはお勧めです。
レッドアイ
ビールとトマトジュースのカクテル。おいしいレッドアイの味はトマトスープのそれに近い。
トマトが入ってるからきっと健康にいい。お酒飲んで健康になりたい人におすすめ。
szkが一番好きなカクテルなので記載しました。
ロングアイランドアイスティー
ウォッカをベースにホワイトキュラソーにコーラ、レモン果汁、テキーラとジン等を混ぜて作るカクテル。
腕利きのバーテンが作ったこのカクテルは完全に紅茶の味がし、アルコールすら感じないというこの世のバグのような飲み物。
しかし度数は20~30度台で上記のように「酔わせること」に特化した酒類のオンパレードのため最強に酔う。さらに翌日残る。
そのため、おしゃれな名前とは裏腹についたあだ名は「レディキラー」。
いわば「お持ち帰り」のためのカクテルである。
正直相当の腕利きのバーテンがいないとそもそもお目にかかることも珍しいカクテルなのでめったに飲むことはないが、もしなんの前触れもなく「紅茶」と言われて長いグラスを出されたら女性の方(とかわいい男の娘とモテるDJ)は要注意。
箱によってはメニューに記載があるので一度味を覚えておくのもよいだろう。
ちなみに超絶美味しいので自分で注文するときは自爆にも注意。
水
おみず。すごくおいしい。
ずっとやってると当たり前のように使ってますけど、意外と謎なワードも多いですよね。
他にワードがあれば追加していきます!
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